2018/10/12

「シャッター反応」

 授業中、指名すると速攻フリーズ生体反応消滅する若い衆。高校までも「あらかじめ答えがあることしか尋ねられなかったから」と。フリーズしてるから誰か助け船出せ、と言うても、まわりも同じく生体反応消して仮死状態のタヌキ。  わからないからごまかすとか、どうしようと逡巡して固まるとか、そういう「理由」がその生身の内側に渦巻いている気配すら薄い。何というか、ほんとに突然「フリーズする」としか言いにくい、それこそまるでちょっとした機械か何かのように。  かつて開高健が、ベトナム戦の最前線の米兵の立ち居振る舞いについて言及していた「シャッター反応」に、どこかよく似てるような気もする。 http://jomontaro.web.fc2.com/page145.html
「虫や獣のなかには強敵に追われていよいよ最後となると、コロリとひっくりかえって死んだ真似をするのがいる。それは”真似”ではなくて、ほんとにからだのなかがどうかなってしまうではないであろうか。」
「虫にしてみると意識より速い何かの反射のために足がしびれて、そうなってしまうのではあるまいか。つまり虫はその瞬間、ほんとに死んでしまうのではないだろうか。ひとりでにシャッターがはしってしまうのではないだろうか。」
「兵の顔には指示されることへの嫌悪、憎悪、侮蔑、反抗などは見られなかった。そのような意識らしいものは何もなかった。ふいに彼は手も足もいきいきとしながら失神してしまったのである。」

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